台湾の総統選で国民党が大迷走している。今年7月に正式に候補者に決定したはずの洪秀柱・立法院副院長(国会副議長)が、中台問題で未来の統一を指向すると思わせるような失言を連発し、支持率が低迷していることから、党主席の朱立倫・新北市長が自らの出馬を前提に「換柱(洪おろし)」を発動した。しかし、洪氏のほうも「死ぬ覚悟で最後まで戦い抜く」と一時反発するなど、年明け1月16日の投票日まで100日を切っているなか、この内紛により、もともと不利な国民党の選挙情勢をさらに悪化させる恐れがある。

 

法的措置も辞さず

「洪おろし」の1つの論拠になっているのが、国民党による支持率の最新世論調査だ。民進党の蔡英文候補45%に対して、洪氏は13%のトリプルスコアの差をつけられた。総統選と同時に行われる立法委員選挙でも、現在過半数を制している国民党は大敗北を喫し、少数野党に転落する結果だったとされる。公表はされていないが、流れを作るために朱氏サイドからリークされているようだ。

 先月中旬から水面下で朱氏は何度か洪氏に自ら退くように勧めたが、洪氏は拒否を続けた。一方で、朱氏は馬英九総統、呉敦義副総統、王金平立法院長、連戦名誉主席ら党内の大物たちに手早く根回しを済ませ、外堀を埋めた形にした。そのうえで今月7日に開かれた党の重要会議で洪氏の辞退を公式に求め、「候補者の交代」を決める臨時党大会を月内(最短で17日)に開く方向で党内意見の集約を図りつつ、洪氏の説得を続けるようだ。

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