シリア問題をめぐって、ロシアがイランと結束して軍事介入を行い、アサド政権の崩壊を阻止する姿勢を明確にした上で、外交交渉で優位に立っている。その一つの現れが、近日中にシリア問題を話し合う関係国会合にイランを入れる方向で調整が進んでいることだ。

"Iran to be invited to next round of talks on Syria: U.S. official," Reuters, 27 October, 2015.

"Iran could join Syria peace talks after US drops longstanding opposition," The Guardian, 27 October, 2015.

これまでのシリア関係国会合では、(1)アサド政権の退陣を交渉の前提条件とするか、(2)イランの参加を認めるか、が米・サウジ・トルコとロシア・イラン・アサド政権との間の最大の対立事項で、そこで折り合えないがゆえに会議そのものが有意義に成立し得ないできた。米・イランの核問題合意による接近で、シリア問題をめぐる外交にも変化が見えた模様だ。イランを入れることで実質的に取引が可能になる可能性がある。ただしそれで現場の内戦が治るかどうかは定かではないが、内戦の火に油を注ぐ要因を減らすことはできるかもしれない。

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