10月31日にロシア機がエジプト・シナイ半島中部の山中に墜落した件については、ロシアもエジプトも政府は事故と主張しており、それを覆す決定的な情報はない。

ただ、墜落した航空機が、エル・アリーシュに向かって降下を試みていたという情報が正しければ、なぜ降下したのか、最終的になぜ墜落したのかがはっきりしなければ謎が残る。

シナイ半島南部のシャルム・エル・シェイクを離陸後すぐに機体の故障などで着陸を余儀なくされたのであればエル・アリーシュに降りようとするのは不思議ではないが、問題はシナイ半島北部はイスラーム過激派「イスラーム国シナイ州」が根を張っており、しばしばエジプト政府・治安部隊と激しい衝突を繰り広げていることだ。携帯式防空ミサイルや携帯式対戦車ロケット砲などは若干ながら保有しているとみられ、航空機がなんらかの理由で高度を下げたところを狙って撃ち落とした可能性はゼロではない(が、それほど高くはない)。

「イスラーム国シナイ州」は関連するウェブサイトやSNSで犯行声明を出した。墜落していく航空機の映像も公開しており、アラビア語のインターネット・メディアが転載しているが、信憑性は低そうである。

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