11月9日にヨルダンの首都アンマンにある国際警察官訓練センターで、ヨルダン人の警察将校が銃を発砲し、アメリカ人2名、南アフリカ人1名、ヨルダン人2名を殺害した。米国と緊密に同盟したヨルダンはイラク・パレスチナなど周辺諸国への国際的な治安支援の拠点であり、銃撃があった警察官訓練センターは国王の名を冠した重要施設である。事件がより大きな政治的動揺につながりかねない根の深いものなのか、背景の注視が必要である。

今年の11月9日は、ヨルダンにとって最大のテロの被害である、2005年11月9日のアンマン・ホテル同時爆破事件から10周年の日であり、そこに合わせてテロを行ったと「イスラーム国」側は主張している。グランド・ハイアット、ラディソンSAS、デイズ・インが同時爆破された2005年のアンマン・ホテル同時爆破事件で自爆を試みながら未遂に終わったサージダ・リーシャーウィーは、今年の「イスラーム国」による二人の日本人人質の殺害事件の際に、ヨルダン空軍パイロット及び可能であれば日本人人質の解放の交換条件として釈放が検討された。11月9日にアンマンで行われたテロとの関連で、改めて思い返して見ていい事実である。

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