中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統がシンガポールでもった、1949年の中台分断以降初めてとなる首脳会談。相手を「先生(~さん)」と呼び、双方が舞台の両袖から歩み寄って中央で握手し、会談の費用も折半と、徹底した対等・平等が演出された。引き続く夕食会も対等・平等がキーワードだったが、さまざまなシグナルとメッセージが飛び交った食事会でもあった。

 

席の配置は中国式

 会談前、台湾で対中政策を主管する行政院大陸委員会の呉美紅・副主任委員は、

「会談後の食事は割り勘で、誰が誰をもてなすということではなく、皆が一緒に食事をとる。食費もそれぞれ自分たちの分を払う。あえて誰が主人かと言えば、両首脳が主人だ」

 と述べた。

 しかし席順、料理内容、飲物と、こと細かに中台双方で詰めが行われたことは想像に難くない。

 円卓になったのは主賓とホストの区別はないから、どちらが上席かを詮索しなくてすむようにだ。両首脳は入口から最も遠い上座に並んで座り、中台の幹部12人は交互に座るように配置された。外交饗宴での首脳同士の座り方は、中国式は並んで座り、台湾式は対面するから、ここは台湾が譲ったと言えるかも知れない。もっとも両首脳が並ぶようにしたのは、2人でヒソヒソ話ができるようにするため、との見方が台湾紙で報じられた。

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