パリの同時多発テロはヨーロッパの社会や政策に深いところで影響を及ぼし、対外政策でも様々な影響が生じうるが、現実の中東に外部の主体が及ぼせる影響力は限られており、米国など超大国の意志にも限界があることから、急に大きな変化が生じるわけではないことも確認しておきたい。

例えば、オバマ大統領はG20サミットの前後の一連の発言で、対「イスラーム国」の作戦を「強化する」とは言いつつも地上軍の派遣については従来の姿勢を変えずに否定し、そもそもこれまでの対策で「イスラーム国」を封じ込めることには成功しているという立場を示している。米地上軍の派遣は「過ちを犯すことになる」とまで論じ「イスラーム国」のような集団は軍による領土の制圧だけでは打倒できず、取り組みは長期間かかることを、おそらくこれまで以上に強調するようになっている

オバマのこのような姿勢への批判は出ており、今後テロが繰り返されれば批判はいっそう高まるだろうが、しかしそれでは現状に変わる有効な方策も、そのための手段も、オバマの政敵・論敵の側とて見いだし得ていないのが現実だ。

 

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