米オバマ政権はトルコのロシア軍機撃墜の影響を極力小さく抑えたい姿勢が明確である。また、パリの同時多発テロ事件による対シリア軍事作戦への影響も避けたいようである。

24日のオランド大統領との会談の後の1時間に及ぶ記者会見で、フランスとの連帯を謳い上げたものの、対「イスラーム国」の軍事作戦の変更については言質を与えず、クルド人勢力と同盟して「イスラーム国」から支配地を奪還したシンジャール作戦の「成功」を依然として今後の作戦のモデルとしている。ロシア機撃墜については自ら触れず、記者からの質問に対しても、トルコの自衛権を認めるという原則論以外は何も語らず、情報を精査中という姿勢で一貫した。

同日の国防総省のピーター・クック報道官の記者会見でも同様に、トルコの自衛権を認めつつ詳細を調査中という姿勢で一貫していた。

BBCのアップデートと、ここまでに分かっている事実関係のまとめが参考になる。BBCが推測する地図によれば、トルコ領のシリア領内に突き出した部分の上空をロシア機が繰り返し侵犯したところをトルコが撃墜したが、当初の報道で名前が出ていたシリア側の国境地域Yamadi付近で被弾し、そこよりさらにシリア領内に入ったところに機体が落下したようだ。パイロットは機体の落下地点より手前で降下したものとみられる。ロシアは当初の「領空侵犯そのものを否定」の姿勢から、徐々に「領空侵犯を短時間犯したがトルコの安全保障を脅かすものではなく、シリア領内に戻ったところで撃墜されたのでロシアは悪くない」という立場に修正して行き、逆に「トルコ機も領空侵犯を犯した」といった反論も行っていくようである。

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