ドイツの諜報機関である連邦情報局(BND)が、サウジの体制の先行きへの不安を表明する異例の声明を12月2日に公表した。

"German spy agency warns of Saudi shift to 'impulsive' policies," Reuters, December 2, 2015.

この報道によれば、BNDの声明では、サウジの対外政策が、サルマーン国王の子息で第二皇太子・国防相の地位にあるムハンマド・ビン・サルマーン王子が主導権を握る中で、「衝動的」になっていると警告を発している。危険視するのは王族の世代交代に伴う政策変更である。慎重な舵取りをしてきた旧世代から、新世代に権力が継承される中で、「衝動的」な対外介入政策が採用されているところが不安の根源である。背景には、サウジが庇護者としてのアメリカに不信感を抱いて独自の行動を取るようになり、イランとの対立を深め、それがシリアやイエメンの問題に顕著なように、地域の混乱につながっている。

また、世代交代を推し進める過程で、ムハンマド第二皇太子・国防相に権力が集中することにより、他の王族から反発が出て権力闘争が激化することを危惧しているようだ。

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