12月2日に米カリフォルニア州サンバーナーディーノ(サンベルナルディーノ:現地報道では、英語圏といえども元来の語源のスペイン語に近い発音をしているようなので、より現地の発音に近い転写を追記しておく)の障害者施設で起きた、14人を殺害した銃乱射事件も、「イスラーム国」に共鳴し呼応したグローバル・ジハードの拡散の一環である可能性が明らかになってきた。現場で銃撃戦で射殺された実行犯の二人組、サイイド・ファルーク(Syed Farook)とタシュフィーン・マリク(Tashfeen Malik)は夫婦とされるが、そのうち、配偶者ビザで入国しパキスタン出身でサウジ在住経験のあるタシュフィーン・マリクが、フェイスブック上で「イスラーム国」に「忠誠の誓い」を行っていたと、FBI関係者がニューヨーク・タイムズ紙に明かした。

"Wife in San Bernardino Attack Pledged ISIS Allegiance, Officials Say," The New York Times, December 4, 2015.

米国では学校や職場、あるいはショッピング・モールなど公共空間での無差別銃撃は頻繁に生じるため、この事件も職場への不満や突発的な銃撃の可能性が否定されていなかった。しかし調べが進むにつれ、犯人たちが戦闘服を着込み、武器や弾薬を集積して入念に準備していたことや、夫とされるサイイド・ファールークがソマリアのアッシャバーブやシリアのアル=カーイダ系の組織ヌスラ戦線の関係者と接触していた疑いも出てきており、激情に駆られた突発的事件ではなく、狙いを持ったテロの可能性が囁かれていた。

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