ロシアのプーチン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相は12月22日、電話会談を行い、中東での対テロ作戦での協調で合意した、と報じられている

これは3日前の出来事を思い返すと意味深い。

Lebanese militant leader killed in Israeli raid in Syria: Hezbollah, Reuters, December 20, 2015.

12月19日、イスラエルはシリアのダマスカス郊外ジャラマーナー地区に攻撃を行い、レバノンのシーア派武装組織ヒズブッラーの幹部サミール・カンタールを殺害した(イスラエルはいつも通り公式には肯定も否定もしていないが、殺害を歓迎している)。カンタールはイスラエルの刑務所に30年間収監され、2008年に捕虜交換でヒズブッラー側に引き渡された人物で、ヒズブッラーのアサド政権軍事支援、特にゴラン高原での対イスラエル戦線構築の目的でシリア入りしていたようだ。

イスラエルとレバノン・ヒズブッラーの間には2006年に大規模な衝突があったが、今回のイスラエルの暗殺作戦に対してはヒズブッラーの反応は極めて限定的で、数発のカチューシャ砲がレバノンからイスラエル領内に打ち込まれたのみである(最高指導者のナスラッラーは発言では「報復」を約束しているものの、行動を伴っていない)。これに対してイスラエルも形だけの砲撃を数回行って対抗するだけで、双方にエスカレートさせる姿勢は見えない。

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