子飼いのメドベージェフ第一副首相を大統領に当選させ、自らは二〇二〇年までの戦略を公表して、実質的な長期政権への自信を示したプーチン大統領だが、スネの傷も露呈している。メドベージェフ指名に反発した治安関係勢力によるリークとみられる蓄財疑惑だ。 二月の内外記者会見でAP通信の記者が「あなたは欧州最大の金持ちと言われるが、収入源は何か?」と質問すると、相手が最近、関係が悪い米国の記者だったこともあり大統領はたちまち逆ギレ。「私もそのような新聞報道は見たが、すべて大ウソだ。鼻からほじり出したものを紙に塗りたくっただけだ」と、国家元首としては、やや品に欠ける表現で応じた。 実はプーチン氏には痛いところを突かれると、相当下品な言葉を吐く習性がある。チェチェン独立運動にてこずった頃「独立派を便所の底に漬け込む」とテレビで発言。大衆は喜んだが知識人は眉をひそめた。 イスラム原理主義についてのフランス人記者の質問が気に入らなかった時は「イスラム過激派になりたいなら、割礼が受けられるようモスクワに招待しよう」と言って通訳を絶句させた前科もある。 今回の「鼻ほじり」発言は、大統領が蓄財疑惑を相当気にしていることをうかがわせる。

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