インドの二輪車市場で、スクーターの人気が急拡大している。クラッチやギア操作がいらない自動変速機や大容量のシート下積載スペースを備えた利便性に加え、足を揃えて乗れるため主に女性ユーザーの支持を集めている。2015年4~12月のスクーター累計出荷台数は約370万8700台と、前年同期比11.4%増、二輪車国内販売の30%強を占めるに至った。農村部での需要不振などで、二輪車全体が同時期にわずか1.2%しか増えていないことを考えると、スクーターはまさに救世主といった存在感だ。各メーカーは魅力的な新機種を相次ぎ投入して販売を強化する一方、スクーターの生産能力拡張にも乗り出しており、今後スクーターがインド二輪車市場の主役に躍り出る可能性もある。

 

ホンダが最強のマーケット・リーダー

 インドの二輪車市場では、1970年代をピークに「バジャジ・オート」や「TVSモーター」などが生産するスクーターが席巻していたが、1998年度にモーターサイクル、つまり通常のオートバイとの販売台数が逆転して以来、スクーターは長年にわたって日陰の存在だった。

 だが、過去10年間でスクーター市場は約5倍に拡大。インド自動車工業会(SIAM)によると、2015年12月の国内出荷台数は約38万6000台。二輪車市場におけるシェアは33.1%と、1998年度以来最高の水準となった。

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