シリア内戦の終結を目指す和平会議がジュネーブで1月25日に開始されるはずだったが、繰り返し先延ばしにされてきた。そもそもどの勢力が参加を認められるかについて、アサド政権、サウジアラビア、トルコ、米国、ロシアなどの思惑が大きく食い違っていることが原因で、調停役のデミストゥーラ国連シリア問題特使も誰を招待するかを決定できないでいた。どうやら1月31日に開催される見通しが立った模様で、各種メディアで報じられている。

しかしシリア現地で激しい戦闘が行われ、アサド政権による都市の包囲により飢餓が生じている状態では、反体制派が会議に出席し合意することは困難とみられる。反体制派を誰が代表するかでも、まったく状況の改善が見られないいずれの勢力も条件付きでの参加であり、交渉に入る前に前提条件で折り合わず非難の応酬の上帰国するという可能性がもっとも高い。しかし米オバマ政権・ケリー国務長官などは調停が進んでいると国内向けに示す必要もあり、現地にさほど影響を与えず、むしろアサド政権を中心とする内戦当事者が戦闘を継続する隠れ蓑として、「和平会議」が使われ続けるだろう。

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