北朝鮮でミサイル発射に向けた兆候がある中、1月29日夜に防衛省敷地内に配備された地対空誘導弾パトリオット(PAC3)(1月30日撮影)(C)AFP=時事

 北朝鮮北西部の平安北道鉄山郡東倉里にある事実上の長距離弾道ミサイル発射場である「西海衛星発射場」で、車両や人の動きがあり、長距離ミサイルの発射準備を進めている兆候が確認された。共同通信が1月28日未明に日本政府筋の話として報じ、米国や韓国の政府当局もこの動きを確認した。
 米政府当局者は1月28日に、北朝鮮が「人工衛星発射」として、数週間以内に長距離弾道ミサイルを発射する可能性があると述べた。北朝鮮が1月6日に行った4回目の核実験に続く挑発的な行動に出る可能性が出てきた。過去3回の核実験では、まず長距離弾道ミサイルを発射して、核実験を行ったが、今回はそれが逆になる可能性が強まっている。

米国主導の制裁案

 日本政府は、北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射に備え、1月28、29日と連続で国家安全保障会議(NSC)を開催し、安倍晋三首相は中谷元・防衛相や岸田文雄外相ら関係閣僚と協議、海上自衛隊のイージス艦を日本海側へ洋上展開させた。中谷防衛相は公表を避けているが、自衛隊にミサイル迎撃を可能とする破壊措置命令を発令した。29日夜には、東京・市ケ谷の防衛省敷地内に、弾道ミサイルを迎撃する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を搬入、配置した。
 北朝鮮の核実験に対する国連安全保障理事会の制裁決議は米国が草案をつくり、それを各国が協議するという形で進んでいるが、中国は慎重姿勢を崩さず、決議は2月に持ち越した。米紙ニューヨーク・タイムズは1月7日、米国は国連安保理の決議案草案に、一部の北朝鮮船舶の全世界での入港禁止や、金融制裁を盛り込んでいると報じた。その後、米国は、北朝鮮への石油輸出禁止や北朝鮮産鉱物資源の輸入禁止、北朝鮮の航空会社、高麗航空の領空通過拒否などを草案に盛り込むよう中国などに働き掛けている。
 しかし、中国の慎重な姿勢は依然として変化がない。2013年の第3回目の核実験に対する国連安保理の決議案採決には3週間以上を要したが、今回はこれ以上になるとみられる。米国のパワー国連大使は1月27日、国連本部での記者会見で国連安保理の追加制裁決議の交渉について「途方もなく複雑な議論をしている。時間がかかったとしても驚かない」と述べ、さらに時間が必要との認識を示した。

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