2月17日の午後にトルコの首都アンカラで、軍の兵員輸送車両を狙った自動車爆弾が爆発し、少なくとも28名が死亡した

テロの実行主体は明らかになっていないが、クルド人の自治・独立を目指すPKK(クルディスターン労働者党)がまず疑われる「イスラーム国」を名乗る勢力のテロも、今年1月のイスタンブールでのテロのように生じており、可能性は否定できないが、状況からはPKKの犯行の可能性が高いと予想して見ていくべきだろう。もちろん背後関係はもっと複雑で、それらの勢力を装った別の勢力による、事態の流動化を狙った作戦である可能性もあるが、そのような複雑な意図を持った犯行である場合、事実関係は長期間明らかにならないだろう。

PKKの犯行が疑われる理由は、シリア内戦の戦況の変化の中で、シリア北部のクルド人主体の武装勢力YPGが台頭し、トルコが影響力を持つアアザーズ(A'zaz)からアレッポにかけての地帯を制圧しかかっていることだ。トルコはYPG及びそこに強い影響力を持つクルド人政治組織PYDをPKKの別働隊と見て、「テロリスト」と認定し、欧米諸国にも同調を求めている。シリア北部に恒久的にクルド人の支配地域ができれば、そこを拠点にトルコ国内に対してクルド武装勢力が攻撃や撹乱作戦を仕掛けてくると警戒し、国家安全保障上の最大の脅威と位置づけている。

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