EUの首脳会議がブリュッセルで2月18・19日にかけて開かれているが、英国のEU残留の条件と並んで、重要なテーマが難民問題への対処であり、特に、トルコに頼れなくなった時の代替策の策定が急務として浮上している。

昨年は難民大規模流入が、並行して生じたテロと共に、EU政治と欧州各国の政治を揺るがした。冬季に天候が荒れる中で一時的に問題が沈静化したかに見えるが、実際は難民流入が続いており、事故や救難行動も相次いでいる。春になれば再び大規模な難民・移動の流入が進みかねない。

EUは昨年11月にトルコとの交渉で、30億ユーロ相当の資金提供を見返りに難民支援の拡充を求める案を提示して、これを基礎にして議論が進んできた。これをドイツのメルケル首相が主導したが故に、メルケル案とも言われている。トルコに資金援助して難民をある程度抱え込んでいてもらい、きてしまった難民はドイツが率先して引き受けつつ、EU諸国に受け入れ数を配分するというのがメルケル案の骨子だ。しかし東欧など強く難民受け入れ数の強制配分に反対する諸国も多く、オーストリアのように1日の難民申請者の人数に上限を設定するといった動きも進む。そもそもドイツの選挙でメルケル案への強い反対の民意が顕在化する可能性はかなりある。その時はメルケル案と共にメルケル自身の政治生命が終わりかねない。

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