シリア内戦の混沌は極まっている。1月に開始されるとされていたジュネーブの和平会議は1月末・2月初頭に開催がずれ込んだ挙句、アサド政権が全力で攻撃と包囲を続ける中で対話が成り立つはずもなく、政権側と反政府側の直接対話に至らずに終わり、ミュンヘン安全保障会議での停戦案もアサド政権に一蹴され、2月22日にはケリー・ラブロフ間で2月27日までに戦闘を休止することを求める案で米露合意がなされたが、アサド政権を含む現地の勢力がこれを実施する可能性は低い。

2月初頭からアサド政権がアレッポ近辺の反体制派の掃討作戦を強め、これにクルド人勢力YPGが加勢して、トルコが設定した「踏み越えてはならない線」であるユーフラテス河を越えた国境地帯に展開し西のクルド山地のクルド人勢力の領域との結合が近づいたと見られたことからトルコの地上軍によるシリア北部侵攻やロシアの反撃などが噂されたが、これは当面沈静化している。

攻勢に出ていたアサド政権は、2月21日に本拠のダマスカスを複数の自動車爆弾で脅かされるとともに、2月22日以来、アレッポに展開する部隊が兵站線を寸断される事態になっている。アサド政権側に残った部隊は結束は固いものの、兵員数や兵站に限界があり、全土を掌握しようとするたびに背後が手薄になって面的な掌握が仕切れない傾向が強い。

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