シリア内戦をめぐっては、米国オバマ政権の「やる気のなさ」が、ロシア・プーチン政権の本気度や戦術的卓越性と対比して際立つ。そんなエピソードがまた一つ報じられた。

2月22日の米露合意に基づき、2月27日から2週間を目標とした停戦cessation of hostilities)が発効している。今のところ双方は遵守を主張しており、相互に相手方の違反を非難しつつも、おおっぴらな戦闘の再開はまだどちらも宣言していない。しかしこの停戦はロシアやアサド政権側が「テロリスト」と認定した勢力に任意に攻撃を続けられることを実質上認めたものであり、実際にこのまま内戦が終わると信じることはナイーブに過ぎる。

米国は停戦違反の攻撃が行われた場合に通報するホットラインの電話番号を公開したが、ここにかけてみると電話応対をする者の大半がアラビア語をできないため役に立たない、と苦情が出ている。国務省の有志によるボランティアで電話受付をしているため、アラビア語ができない者が大半であることを国務省も認めている

シリア問題では一貫して、米国の不用意さ、ちぐはぐさ、やる気のなさが目立つ。

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