トルコ南東部ディヤルバクルを拠点とする記者によるレポートが不吉である。

Mahmut Bozarslan, "With spread of IS-like tactics, urban warfare in Turkey grows bloodier," Al-Monitor, March 7, 2016.

これはトルコのクルド版の「帰還兵問題」と言える。「イスラーム国」に周辺国や西欧諸国などから身を投じた若者が、出身国に戻ってテロや反体制運動を行う危険性について「帰還兵問題」の枠組みで論じられる。対「イスラーム国」の作戦では「善玉」とされがちなクルド系武装組織だが、周辺諸国には同様の帰還兵問題を生じさせかねない。矛先を向けられるのはトルコである。

トルコのクルド系反政府武装組織PKKの青年組織YPSが、シリアのクルド系武装組織PYGの影響を受けて戦闘能力を高め、トルコ政府軍や警察に対する攻撃を強めているのでは、という観察である。

記事のタイトルからはあたかも「イスラーム国」の手法からYPSが学んでいるかのように受け止められかねないが(敵対勢力の手法から学ぶという面もあるので間違いではないが)、より重要なのは、シリアのトルコ国境の町コバニでの「イスラーム国」との戦闘に加わったトルコのクルド人の若者が、シリアのクルド系武装組織YPGから作戦や武器の使用法を学んで、帰国してトルコの軍・警察にそれを用いることの危険性が論じられている。

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