ついに来たか、という感じである。

"Syrian Kurds set to announce federal system in northern Syria," Reuters, March 16, 2016.

シリア北部で勢力範囲を広げるクルド人勢力が、シリアの連邦化を主張し、その中でクルド人が主導する北部の三つの領域を合わせて自治領域とすると宣言する方向だという。

シリアの連邦化、すなわちシリア北部のクルド勢力に自治政府(に相当するもの)樹立を許すという案は、アサド政権も、そして国境をまたいでクルド民族問題を抱えるトルコも、認めていない。

しかしクルド勢力はシリア内戦と「イスラーム国」の台頭の中で、米国とロシア双方に有効な「現地同盟勢力」であることを売り込んできた。

第一次世界大戦の終結後に、オスマン帝国のアナトリアの版図にクルド人の自治領域を作る案があった。その当時はイギリスの後押しを受けていた。しかしトルコ共和国の独立と、その際の戦争によって、自治・独立は阻止された。今回、シリア政府の弱体化と、トルコの国際的孤立を背景に、シリアのクルド人勢力が悲願の実現に向けて一歩踏み出そうとしている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。