ジャカルタで1月14日午前10時40分、4名のインドネシア過激派自爆テロ犯による爆弾テロ事件が発生してから、早くも2カ月が経過した。「イスラム国」(IS)が、犯行声明を発表した東南アジア初のテロ事件であった。
 小規模とは言え、この爆弾テロ事件では8名(実行犯4名を含む)が死亡し、重軽傷者は26名を数えた。標的は米国コーヒーチェーンの「スターバックス」と、インドネシア政府(襲撃のターゲットは警察官)で、近傍には大統領官邸や日本大使館もあるなど、まさにジャカルタの心臓部で発生したテロ事件であったといえよう。
 年末年始、ジャカルタにおいて「コンサート」と呼ばれる爆弾テロ事件が発生するとのインテリジェンス情報を基に、インドネシア政府は警察の対テロ特殊部隊「D88」を投入して厳重警戒に当たり、このテロ事件を未然に防ぐことができた。その安心感から厳重警戒を解除して、「D88」も撤収した矢先の出来事であっただけに、当局の衝撃は多大なものであったと推察される。
 今回の爆弾テロ事件により露呈したのが、インドネシア過激派を収監する刑務所のずさんな管理体制であった。また、現代社会に特有のネット空間を介在させた犯罪であったことも特筆すべきであろう。そしてこの事件が物語るものは、インドネシアや東南アジアが今後、ISの脅威にさらされ続けるという暗い未来の暗示である。

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