市場関係者にとっては、大きなショックだった。日本銀行は、3月28日に実施したCP(コマーシャルペーパー)など短期社債の買い入れオペレーション(以下、買いオペ)で、“応札レートの足切り”を行ったのだ。これは、行き過ぎたマイナス水準のCPなどは購入しないという日銀の意思を内外に示したものであり、事実上、日銀のマイナス金利政策には限界があることの表れでもあった。

 CPとは、企業が短期での資金調達のために発行する無担保の約束手形。通常は期間が1年未満で、金額は1億円以上となっている。日銀は量的緩和を行う上で、市場への資金供給手段として、従来からCPの買い入れも積極的に行っていた。

 そして3月28日、午前中に行われた日銀による入札では、国債の買い入れと一緒にCPなどの買い入れもオファーされた。オファー額は6000億円。つまり、市場参加者(ほとんどが銀行)から6000億円分のCPなどを日銀が買い入れる意思を表明したということだ。

 ところが、その結果が発表されると、市場関係者の間には衝撃が走った。日銀が発表した落札結果は、CPなど買い入れの応札総額が6449億円だったのに対し、落札総額は5304億円と大幅に下回っていた。つまり、日銀は6000億円分のCPなどを買い入れるとオファーし、売りたいという希望が6449億円集まったにもかかわらず、5304億円しか買わなかったということだ。

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