業界4位の大王製紙との合併を狙う同5位の北越紀州製紙と、徹底抗戦する大王製紙――。複雑な因縁と怨念にまみれた両社の争いは目下法廷闘争にまで発展し、その攻防は業界で「仁義なき戦い」と呼ばれ、関係者は固唾を飲んで成り行きを注視している。

 上場企業の現職会長による100億円以上のバカラ賭博借金をめぐる特別背任という、世間を驚愕させた前代未聞の事件から4年半。息子・意高(もとたか)の事件で会社を追われた大王の「中興の祖」、井川高雄は北越紀州側に付いた。一方「脱創業家」を掲げる大王の現経営陣を支えるのは、高雄・意高親子を除く「井川一族」の面々だ。血で血を洗う抗争の果てに、生き残るのはどちらか。東京地裁で争われている複数の関連訴訟は、いままさに佳境を迎えている。

 

門前払いされた筆頭株主

 昨年4月下旬、北越紀州社長の岸本晳夫(せきお)宛に、懇意にしている四国の取引先から1個のダンボール箱が届いた。中には防弾チョッキと防刃チョッキが1着ずつ入っており、「お気をつけて」とメッセージが添えられていた。

 岸本は大株主の立場から何度も大王製紙社長の佐光正義に面談を申し込んだが、佐光は「会いたくない」の一点張り。業を煮やした岸本は、愛媛県四国中央市の大王本社に乗り込むことにした。ダンボール箱が届いたのはその数日前のことだった。

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