オバマ米大統領が3月21、22の両日、キューバを公式訪問した。現職の米大統領がキューバを訪問するのは1928年のクーリッジ大統領以来88年ぶり、2人目。両国は1959年のキューバ革命以来の長年の対立を越えて新しいページを開いたが、この訪問を大いに喜んだ、米国民でも、キューバ国民でもない、第三者がいた。スペインのワインメーカーである。

 

庶民レストランで私的な夕食会

 オバマ米大統領は公式訪問が始まる前日の20日午後、大統領専用機エアフォース・ワンで、ミシェル夫人と2人の娘と共にキューバの首都ハバナ空港に到着した。空港にはロドリゲス外相が出迎え、同大統領は「キューバを訪問出来たのは素晴らしい。クーリッジ大統領は軍艦で3日間もかかったのに、私はわずか3時間で着いた」とのメッセージを発表した。

 宿舎は米大使公邸が充てられたが、この日はまだ私的訪問とあって公式行事はなかった。大統領一家は米大使らの案内で、ハバナの旧市街を散策し、大聖堂では両国の国交回復に尽力したキューバのカトリックのトップ、オルテガ大司教を表敬訪問した。

 夜は旧市街にあるキューバ料理のレストラン「サン・クリストバル・パラドール」に入った。庶民が出入りする気の置けないレストランで、賓客はオーナー兼シェフのマリオ・カルザド・フリアス氏を驚かせた。米大使館は事前にレストランを貸し切りにしたが、身元を明かさず、ましてお客が米大統領一家とは知らせていなかった。食事中、レストラン周辺にはシークレットサービスが配置された。

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