饗宴外交の舞台裏 (215)

米大統領「キューバ訪問」で供された「スペインワイン」の意味

執筆者:西川恵 2016年4月18日

 オバマ米大統領が3月21、22の両日、キューバを公式訪問した。現職の米大統領がキューバを訪問するのは1928年のクーリッジ大統領以来88年ぶり、2人目。両国は1959年のキューバ革命以来の長年の対立を越えて新しいページを開いたが、この訪問を大いに喜んだ、米国民でも、キューバ国民でもない、第三者がいた。スペインのワインメーカーである。

 

庶民レストランで私的な夕食会

 オバマ米大統領は公式訪問が始まる前日の20日午後、大統領専用機エアフォース・ワンで、ミシェル夫人と2人の娘と共にキューバの首都ハバナ空港に到着した。空港にはロドリゲス外相が出迎え、同大統領は「キューバを訪問出来たのは素晴らしい。クーリッジ大統領は軍艦で3日間もかかったのに、私はわずか3時間で着いた」とのメッセージを発表した。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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