引き裂かれた時を越えて――「二・二六事件」に殉じた兄よ

【特別連載】引き裂かれた時を越えて――「二・二六事件」に殉じた兄よ(1)

執筆者:寺島英弥 2019年8月15日
エリア: 日本
ありし日の対馬勝雄中尉(波多江さん提供)

 内外の街や島を焼き、同胞約300万人以上の犠牲を生んだ日本の敗戦から、75年目の夏が訪れた。

 軍部が反対勢力を一掃して政治をわが物にし、国民の統制と総力戦へ舵を切る転機といわれるのが、1936(昭和11)年に起きた「二・二六事件」。天皇に弓引いた叛乱と陸軍から宣伝され、戦後はファシズムの時代の先兵と目された青年将校らの素顔も、蹶起と刑死の真実も、いまは歴史と忘却のかなたにある。

 その当時を知る生き証人だった遺族の女性が6月末、104歳で他界した。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
寺島英弥 ローカルジャーナリスト、尚絅学院大客員教授。1957年福島県相馬市生れ。早稲田大学法学部卒。『河北新報』で「こころの伏流水 北の祈り」(新聞協会賞)、「オリザの環」(同)などの連載に携わり、東日本大震災、福島第1原発事故を取材。フルブライト奨学生として米デューク大に留学。主著に『シビック・ジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙』(日本評論社)、『海よ里よ、いつの日に還る』(明石書店)『東日本大震災 何も終わらない福島の5年 飯舘・南相馬から』『福島第1原発事故7年 避難指示解除後を生きる』(同)。3.11以降、被災地で「人間」の記録を綴ったブログ「余震の中で新聞を作る」を書き続けた。ホームページ「人と人をつなぐラボ」http://terashimahideya.com/
クローズアップ
キャリア決済のお申し込み
フォーサイトのお申し込み
クローズアップ
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top