霞が関に「政策立案」を任せるな

執筆者:鈴木崇弘2008年4月号

たとえ政権交代が実現しても、政党の官僚依存は変わらない。「民」の力を強化し、欧米並みの「政策リスクヘッジ」を模索する時だ。 イージス艦漁船衝突事件、社会保険庁の年金問題、守屋前防衛省事務次官問題など、官僚制度のあり方が厳しく問われる出来事が次々に起こっている。第二次大戦後から高度成長期まで驚異的な成功を収めたわが国の官僚制度が、現代において機能不全に陥っているのは明らかだろう。今の官僚バッシングは、起こるべくして起こっているのである。 しかし、社会の構造が変わっていない以上、行政=官僚機構が担う役割は今でもきわめて大きい。たとえば、現在の野党第一党である民主党が次の総選挙で過半数を獲得し、政権交代が起こったとしよう。この場合、民主党は誰に政策立案能力を頼るのだろうか。それは、やはり現在の官僚機構しかない。明治以降現在まで、わが国で政策立案能力を持つ組織は行政以外にはないのである。 だが、それでは、政権交代をしたとはいえ、従来の官僚組織が政策立案をするのだから、時代の要請に応えられるかどうかは甚だ疑問である。では、一体どうすればいいのか。処方箋の一つは、国家の行政機構以外、つまり「官」以外の「民」の中に政策立案能力を持つ機能を作っておくことである。欧米では当たり前のように行なわれていることだ。

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