霞が関に「政策立案」を任せるな

執筆者:鈴木崇弘 2008年4月号
エリア: アジア

たとえ政権交代が実現しても、政党の官僚依存は変わらない。「民」の力を強化し、欧米並みの「政策リスクヘッジ」を模索する時だ。 イージス艦漁船衝突事件、社会保険庁の年金問題、守屋前防衛省事務次官問題など、官僚制度のあり方が厳しく問われる出来事が次々に起こっている。第二次大戦後から高度成長期まで驚異的な成功を収めたわが国の官僚制度が、現代において機能不全に陥っているのは明らかだろう。今の官僚バッシングは、起こるべくして起こっているのである。 しかし、社会の構造が変わっていない以上、行政=官僚機構が担う役割は今でもきわめて大きい。たとえば、現在の野党第一党である民主党が次の総選挙で過半数を獲得し、政権交代が起こったとしよう。この場合、民主党は誰に政策立案能力を頼るのだろうか。それは、やはり現在の官僚機構しかない。明治以降現在まで、わが国で政策立案能力を持つ組織は行政以外にはないのである。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
鈴木崇弘(すずきたかひろ) 城西国際大学大学院研究科特任教授、早稲田大学総合研究機構総合政策科学研究所招聘研究員。専門は公共政策や社会システム。東京大学法学部卒。イーストウエスト・センター奨 学生としてハワイ大学等に留学。設立に関わり東京財団・研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、設立に関わり自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」 の理事・事務局長、中央大学大学院公共政策研究科客員教授、厚生労働省総合政策参与、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)事務局長付(情報統括)、城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科教授・研究科長、沖縄科学技術大学院大学客員研究員などを経て現職。PHP総研客員研究員等も務める。主な著書は『日本に「民主主義」を起業する』(第一書林)『シチズン・リテラシー』(教育出版)等。
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