「総合芸術」的な国際研究組織「OIST」の全貌(下)

執筆者:鈴木崇弘 2023年3月26日
タグ: 日本
エリア: アジア
研究機関の枠を超えて、今後は社会性を高めていくことも必要に(「OIST」HPより)
「特区」や「出島」のように、日本的組織とは一線を画すOISTだが、逆にそれが認知度を下げる原因にもなっている。第2ステージに入りつつある今、さらなる社会貢献を目指すOISTが抱える課題とは。

 今回は、これまで検討してきたことを基に、OIST(沖縄科学技術大学院大学)の意味や課題などについて考察すると共に、そこから導き出される日本社会への提言等について論じていく。

OISTの意味と課題

 OISTは、ここまで論じてきたように、研究環境などとその付帯する仕組み・組織構成、そしてそれらを構成している人材および施設などが、渾然一体となって研究・教育の「場」を形成している「一つの社会」であり、「別世界」的な存在である。

 そしてOISTは、日本社会で一般的にイメージされる単なる大学ではない。ある意味で大学を超えた大学なのである。それは別の社会の仕組みが形成された「特区」であり、また日本における「出島」なのだ。……

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執筆者プロフィール
鈴木崇弘(すずきたかひろ) 城西国際大学大学院研究科特任教授、早稲田大学総合研究機構総合政策科学研究所招聘研究員。専門は公共政策や社会システム。東京大学法学部卒。イーストウエスト・センター奨 学生としてハワイ大学等に留学。設立に関わり東京財団・研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、設立に関わり自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」 の理事・事務局長、中央大学大学院公共政策研究科客員教授、厚生労働省総合政策参与、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)事務局長付(情報統括)、城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科教授・研究科長、沖縄科学技術大学院大学客員研究員などを経て現職。PHP総研客員研究員等も務める。主な著書は『日本に「民主主義」を起業する』(第一書林)『シチズン・リテラシー』(教育出版)等。
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