「総合芸術」的な国際研究組織「OIST」の全貌(中)

執筆者:鈴木崇弘 2023年3月25日
タグ: 日本
エリア: アジア
OISTの構想から設立まで、尾身幸次元財務相の尽力は大きいものがあった(「OIST」HPより)
OISTは単なる研究機関ではない。沖縄という立地を生かし、研究者や学生、職員がその目的に注力できるような環境を整えるとともに、社会への貢献も視野に入れた「場」を構築している。

 前回は、OIST(沖縄科学技術大学院大学)のガバナンスおよびそこで活躍する人々や役割などについて検討した。今回は、それらの人々が活躍する「場」について考えていきたい。別言すれば、舞台あるいは作品としてのOISTを考えることであり、OISTという別社会・別世界を探訪することでもある。

沖縄という「場」

 まず非常に興味深くかつ重要なのは、OISTが沖縄県国頭郡恩納村にあることだ。

 OISTが沖縄県に創設されたのは、尾身幸次元財務大臣の構想による。尾身氏が小泉純一郎内閣で2001年4月から2002年9月にかけて沖縄及び北方対策、科学技術政策の内閣府特命担当大臣を務めていたことに端を発するもので、ある意味、政治的イニシアティブによる偶然から生まれたものであり、従来の大学設置のなどの法的枠を超えているという意味で「超法規的」な存在だと極論することもできるかもしれない。……

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執筆者プロフィール
鈴木崇弘(すずきたかひろ) 城西国際大学大学院研究科特任教授、早稲田大学総合研究機構総合政策科学研究所招聘研究員。専門は公共政策や社会システム。東京大学法学部卒。イーストウエスト・センター奨 学生としてハワイ大学等に留学。設立に関わり東京財団・研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、設立に関わり自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」 の理事・事務局長、中央大学大学院公共政策研究科客員教授、厚生労働省総合政策参与、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)事務局長付(情報統括)、城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科教授・研究科長、沖縄科学技術大学院大学客員研究員などを経て現職。PHP総研客員研究員等も務める。主な著書は『日本に「民主主義」を起業する』(第一書林)『シチズン・リテラシー』(教育出版)等。
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