金正恩による軍事訓練参観が相次ぐ――巡航ミサイル・自爆ドローン対策も(2025年5月11日~5月17日)

5月14日付は第1面から第2面上段にかけて、「首都防御軍団第60訓練所」にて開催された兵種別戦術総合訓練を金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が参観したことについて報じた。「朝鮮人民軍第7回訓練指揮官大会」の一環として開催されたという。
金正恩は、「最も重要な戦線は反帝階級戦線」であると述べ、「訓練に情報化システムと科学的判定システムを導入し、新世紀の発展推移に応じて訓練制度を新たに定立する必要性」について言及し、指揮官の「主導性と自立性、創意性」を高めるよう求めた。「反帝」はロシアとの共闘におけるキーワードである。
第2面下段には、「ロシア連邦大統領が、朝鮮民主主義人民共和国の軍人が発揮した戦闘能力と勇敢さ、英雄主義を評価」と題する記事も掲載された。11日、ウラジーミル・プーチン大統領がクレムリンで行った記者会見において、クルスク州奪還作戦への北朝鮮軍人の貢献を称えたことについて紹介したものである。国民に対して派兵の意義を説明付ける記事だと言える。
第7回訓練指揮官大会の開催については、17日付第3面で報じられた。前回は7年前に「第6回訓練指揮官熱誠者大会」として開催されたという。今次大会で報告を行った李永吉(リ・ヨンギル)総参謀長は、金正恩の指導により実戦戦力を備えるうえで革新的な変化が起きているなどと成果を強調する一方、「必ず克服しなくてはならない偏向的問題」についても指摘した。討論者の発言として、「訓練部門を一日も早く党の軍事戦略的構想と現代戦の要求に相応した高みに引き上げる」といった表現も見られたが、克服すべき課題の具体的内容については明らかにされていない。
17日付は2ページを使って、近衛第1空軍師団管下の飛行連隊による訓練を金正恩が指導したことについて報じた。

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