消費増税「再延期」で景気はいつ回復するのか
2016年6月2日
安倍晋三首相が消費増税の再延期を表明した。2017年4月に、税率を8%から10%に引き上げることが決まっていたが、これを2年半先延ばしして2019年10月からとする。
これまで安倍首相は、「リーマン・ショック級あるいは大震災級の事態にならない限り、消費税は予定通り引き上げていく」と繰り返し述べてきた。実際には2月頃から首相周辺では先送りが模索されてきたが、財務省や財務省シンパの自民党議員、財界人を中心に、予定通り増税すべきだとの意見が根強くあった。水面下ではギリギリまで先送り派と増税派での綱引きが続いた。
4月に熊本で大地震が起きたのは安倍官邸にとっては「想定外」だったとはいえ、増税再延期の背中を押した。G7(主要7カ国)伊勢志摩サミットの場で世界の経済情勢の先行き不安を強調することはシナリオ通りだったが、足元では世界的に株価が安定し、原油価格も回復過程にあったため、やや牽強付会な印象になった。
それでも安倍首相は、サミットの議長記者会見で「世界経済の成長率は昨年、リーマン・ショック以来、最低を記録しました。今年の見通しも、どんどん下方修正されています」と述べ、増税再延期に道筋を付けた。
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