リビア西部ガラブリで民兵集団と住民が抗争

執筆者:池内恵2016年6月22日

リビアの内戦の終結への道のりは険しい。

昨年12月17日には、東西分裂政府の交渉担当者たちによって国民合意政権(Government of National Accord: GNA)の設立で合意された。紆余曲折あって欧米諸国と安保理の支持も得て結成されたGNAが3月30日に首都トリポリに上陸し、統治体制を作ろうとしているが、進んでおらず、首都トリポリや東部主要都市ベンガジすら水と電気が長期間切断される始末である。

GNAに欧米諸国が期待するのは、中部のスィルトを拠点に勢力を広げる「イスラーム国」勢力の掃討の主体としてである。地元勢力が「イスラーム国」を名乗るのに加えて、イラクやシリアで劣勢に立たされた「イスラーム国」の幹部がスィルト付近に聖域を確保しようとしているのではないか、と危惧されるオバマ政権もリビアでの軍事作戦に備える人事を行っている

GNAは中部ミスラタの民兵を味方につけて攻勢に出ている。2012年の選挙に基づく国民総会(GNC)の設立したトリポリ政府を支援していたミスラタの民兵集団だが、何らかの裏取引があったのか、トリポリに上陸したGNAの側についた。それによって見かけ上はGNAは首都を拠点としているが、様々な民兵集団を統制できているかというと心もとない。

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