リビアの西部ガラブリでの抗争と、国際社会の関心事スィルトでの戦闘についてこの前のエントリで記したが、今度は東部を見てみよう。東部の中心都市はベンガジで、ここでは各種の民兵集団が競っている。

東部を拠点とする2014の選挙を根拠とする代議員議会(House of Representatives, HOR)はリビアの東部を支配していることになっているが、実際には再東部のトブルクやベイダに逼塞している。

選挙で選ばれた正統性を主張するHORと付かず離れずの関係にあり、武力を提供して支えることもあれば独自行動を取ることもあるハフタル将軍は、旧リビア国軍の勢力の一部を糾合した自称「リビア国民軍(Libyan National Army)」を率いて東部の領域支配を目指している。そこで対立するのがイスラーム主義系の民兵集団である。東部のイスラーム主義系民兵集団は最近、「ベンガジ防衛部隊(Benghazi Defence Forces, BDF)」を結成した。両者が石油関連設備のある東部アジュダービヤーで衝突している。

しかしこれらのイスラーム主義系の民兵集団こそが、「イスラーム国」が東部のデルナ(ダルナ)で2015年前半に伸長した時に、これを掃討する役割を担った。構図は単純ではない。

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