「慌てて結婚、ゆっくり後悔」。そんな諺を拝借するなら、「慌てて離婚、たちまち後悔」。今回の国民投票の結果に、英国の有権者は「こりゃまずかった」と舌打ちしている。

 1位「EU(欧州連合)離脱は何を意味する?」、2位「EUって何?」。米インターネット検索大手のグーグルは6月24日、英国の国民投票でEU離脱派が勝利を決めた後、英国で検索回数が最も多かった関連のキーワードを明らかにした。 国を二分した国民投票は投票率72.2%に上ったが、実は多くの英国民がその意味を理解しておらず、ネット検索に答えを求めていた可能性がある、と読売新聞(6月26日)は伝える。

 投票結果を見て腰を抜かしたからだろう。再度の国民投票実施を求める請願が300万人以上にのぼった。が、覆水盆に返らず。英国民の一時の判断がEUのパンドラの箱を開けてしまった。解体に向かう欧州は世界の地政学地図をも塗り替える。

 

巧みだったトランプの選挙キャンペーン

 英国民の「独立宣言」だ。Brexit(英国のEU離脱)の報を聞き、寿いだのはドナルド・トランプ氏である。共和党候補として11月の米大統領選に臨むトランプ氏は、英国民投票に狙いを定めたかのように、スコットランドにリニューアルオープンした自らのグループのゴルフ場を訪ねていた。キャメロン英首相と会談しEU残留を後押ししたオバマ米大統領を「余計なお節介」と批判し、自らを離脱派の熱狂に投じてみせた。

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