中国に対して明確なメッセージを送った(C)EPA=時事

 

 台湾の蔡英文総統が『ワシントン・ポスト(WP)』紙のインタビューに応じた。5月の就任後、内外メディアを問わず、初めてのインタビューである。

 やはりと言うべきか、最初に選んだのは米国で、その相手はWPだった。チョイスは結局のところ、『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』かWPしかなかっただろう。蔡英文はあまりインタビューを積極的に受ける方ではない。選挙前には、米誌『タイム』のインタビューを受けてその表紙(アジア版)を飾った。次は、いつかは分からないが、台湾のメディアであるような気がする。その次は日本のメディアではないだろうか。日米のメディアを連続でインタビュー相手に選べば、結局のところ、蔡英文は「親米親日(反中)」ではないかという中国側の疑念を裏打ちする形になる。台湾でも自国メディアの軽視という批判も招くだろう。だから台湾メディアを間にはさみ、次に日本メディア、という順番になるのではないかと推測している。

 

台湾の民意

 さて、インタビューだが、中台関係や南シナ海問題などについてこれまでの公式発言を超えて踏み込んで語っている部分が少なくなく、想像以上に読み応えがあった。形式的なものを好まない蔡英文の性格からして、インタビューに応じる以上は、しっかりとした中身を伴ったものにする、という考えがあるのだろう。その点は、とにかく中身があってもなくても表に出て語ろうとすることに重点を置いた馬英九前総統、陳水扁前々総統のメディア戦略とは趣を異にしている。

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