シリア反体制派がアレッポの包囲を解く

執筆者:池内恵2016年8月9日

シリアの戦況がひと月の間に目まぐるしく移り変わっている。アレッポの戦況は政権と反体制勢力の間の交渉や、米露交渉、ロシアとトルコやサウジアラビアなどの交渉にも関わる最重要の戦線である。

8月6日までに、アレッポ東部の反体制派支配地域へのアサド政権による包囲を、反体制勢力の増援勢力とアレッポ内部の反体制勢力が呼応して解いたようだ。

アレッポ中心部の東部は、2012年以来反体制勢力が支配してきた。ここを7月17日ごろまでにアサド政権が、ロシアの空爆やイランやイラク、レバノンやアフガニスタンのシーア派など各種の民兵勢力の増援を借りて包囲し、反体制勢力と住民に投降・離脱を迫っていたが、逆に7月31日から8月6日にかけて、反体制勢力諸派がこれまでにない協調を示して反転攻勢に出て、形成を逆転させた。

反体制派の強化の一員として、ヌスラ戦線がアル=カーイダと関係を絶つことを明確にし、反アサドを主目的とするシリア土着の勢力としての姿勢を明確にしたことで、反体制勢力の求心力が高まり結束が固まった点が挙げられるだろう。

トルコや欧米などの武器支援が強まり、訓練された人員が投入されたとする報道もある

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