8月26日、トルコのイスタンブルのボスフォラス海峡に、ヨーロッパ側とアジア側をつなぐ3本目の橋が開通した。トルコのゼネコンİçtaşとイタリアAstaldiのJVが建設に携わった。

外国では第3ボスフォラス大橋と番号で呼ばれることもあるが、正式には「セリム1世大橋(Yavuz Sultan Selim Bridge)と名付けられている。

セリム1世とはオスマン帝国の第9代スルターン(在位1512−1522)で、帝国の領土をアラブ世界に大幅に拡大させた指導者として知られる。「ヤヴズ」とは「冷酷者」というあだ名。アナトリアに勃興したオスマン帝国は、それまでのスルタンの代にはコンスタンティノープル(イスタンブル)とその先のバルカン半島の征服に専念していた。セリム1世は就任するとまずアナトリア東部の支配を固めた上で、1514年にサファヴィー朝イランにチャルディラーンの戦いで勝利。1515年にはトルコ南東部とイラク北部のクルディスターンを制圧した。

この後セリム1世は南方のアラブ世界への遠征を始める。当時奴隷軍人出身の「マムルーク」諸侯が支配していたシリア、パレスチナ、アラビア半島紅海岸の聖地メッカ・メディナ、そしてエジプトまでを征服し、オスマン帝国の最盛期を築いた。

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