ニクソンの「南部戦略」は政治の焦点を劇的に転換させたが……(C)AFP=時事

 

「トランプ現象(Trumpism)」をめぐって思想闘争が起きている。その焦点の1つがPC(「政治的正しさ」)をめぐる闘いだ。人種あるいはジェンダーなど集団ごとに権利(歴史的権利の回復も含む)を主張するアイデンティティ・ポリティクスが自由を核とするアメリカの「理念」とどう折り合いをつけるのか、答えは容易に見つかりそうもない。

 もう1つの焦点である「ナショナルなもの」と「グローバルなもの」の折り合いをめぐっても、答えのない論争が続く。アメリカが主導してきたグローバル経済は中国やインドの興隆を促し、世界経済全体を見れば億単位で新たに中産階級が生まれた。しかし、その成果の裏で、アメリカをはじめ先進各国では中産階級が没落し疲弊して、ついに反乱を起こしている。

 

グローバル経済エリートの発想

 前回紹介した思想集団、西海岸シュトラウス派によるオンライン保守論壇『ジャーナル・オブ・アメリカン・グレートネス(JAG)』で繰り広げられたトランプ現象肯定論を、もう少し見てみよう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。