ジュネーブで9月9日の深夜から翌10日にかけて、米露の外相間で交渉がまとまり、シリア内戦でのある種の「停戦」を試みることに合意した。これに基づき9月12日には最初期段階の48時間の「停戦」が発効したものとされる。

ケリー米外相とラブロフ露外相は9月4・5日にかけても長時間の協議を行っており、中国・杭州で行われたG20サミットの場でもオバマ米大統領とプーチン露大統領の会談でシリア問題が議論されていたが、相違が埋められていなかった。9月9日(10日?)の合意も、従来の合意と同様に、同床異夢の産物であり、現地の状況に正の効果をもたらすという意味での実効性は乏しいのではないかと思われる。

米露間では、2月22日発表の「停戦」合意がすでにあり、2月27日に停戦が発効したものとされたが、ほどなく戦闘は再開され、激化した。

今回も、実効性はそれほど期待されていない。合意はロシアがアサド政権の空爆を抑制し、米が反体制派の旧ヌスラ戦線(現在は「シャーム征服戦線」と名乗る)との分離を促進し、その後は米・露が「イスラーム国」や旧ヌスラ戦線に対する軍事行動を協力して行う、という流れを示すものだが、絵に描いた餅に等しい。

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