英『エコノミスト』誌に、サウジ王室情勢についてのアップデートが載っていた。注目すべきは、サルマーン国王がムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子(MbN)を更迭して、自らの子息であるムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子(MbS)に直接王位を継がせるという、年初に高まった観測は現実化せず、当面、皇太子と副皇太子の並立・共存が続くのではないかという見解に転じていることだ。これはサウジを見守る者の間に、共通して固まりつつある印象だろう。

"Saudi Arabia: The Real Game of Thrones: The crown prince stands between the king and his favoured successor," The Economist, 24 September 2016.

ムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子が当面その地位を保全したと判断する根拠としては、9月21日に国連総会でMbNがサウジを代表して演壇に立ったことが挙げられる。ここにMbS副皇太子が立てば、公式の皇太子廃位も近いとの噂が飛び交ったことだろう。昨年12月にはアルジェリアに引きこもって極端に露出度が低くなり、失脚すら噂されたこともあるMbNだが、その後、改めてサルマーン国王とMbSと並ぶ形で、3者の結束と良好な関係を印象付ける構図でメディア上に現れることが多くなった。

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