米オバマ政権末期の「2017年問題」に注意

執筆者:池内恵2016年9月29日

先日専門家の集まりで議論していてふと思いついたのだが、国際問題に関わる人間は「2017年問題」を気にするべきではないだろうか。

もう多くの人が忘れていると思うが、「2000年問題」というものが騒がれたことがある。2000年に日付が変わる瞬間にコンピュータの誤作動が大規模に生じるのではないかと危惧され、年末年始を休暇返上で対策に当たった人もいたはずだ。結局ほとんど何も起こらなかったが。

オバマ政権は二期の任期を通じて、米国の超大国としての威信や実効性のダウンサイジングを図ったが、その帰結として、敵対勢力が増長するだけでなく、同盟国の米国離れが進む。その結果として紛争の長期化や激化をもたらす要因にもなっていると考えられる。

米政権の威信と実効性は、大統領選挙後の、2016年末から2017年1月の、政権引き継ぎ期間にさらに低下すると考えられる。そうなると、米国の敵対勢力が制約なく行動するだけでなく、同盟国もこの機会に大きな現状変更を図るかもしれない。

元来が、年末年始・クリスマス休暇の近くには、主要国の首脳、特に米大統領・政府高官が休暇によって機動的な判断能力を低下させることを見越したと思われる動きが各地で生じる。

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