様々な分野で地銀同士の連携はあるのだが……(東海、北陸の地銀6行の頭取たち)(C)時事

 

 森信親・金融庁長官は、10月21日に発表した「2016年度の金融行政方針」で、地方銀行、第二地方銀行といった「地域銀行」に対する新たな評価制度を導入し、その評価結果に基づき、“優秀な”地域銀行を表彰する制度を創設すると発表した。表彰という金融庁の“お墨付き”は、地域銀行に優劣を付け、顧客による銀行選別を引き起こし、地域銀行をふるいにかけることになる。言わば金融庁自身が「潰してもよい」と考える地域銀行を選別するための制度であり、地域銀行にとってはまさに生き残りをかけた最終局面を迎えようとしている。

 

“コペルニクス的”な金融行政の大転換

 2014年9月に発足した第2次安倍改造内閣で唱え始めた新たなアベノミクスのスタートとともに、金融行政は大きな転換を見せた。地域銀行を、安倍内閣がスローガンとして掲げた「地方創生」の核の1つと位置付けたのだ。かつてあれほど日本経済を揺るがした銀行の不良債権問題は遠く過去のものとなり、いまでは金融庁の役割は銀行の健全性を監視することではなくなっていた。資産を厳格に査定することで不良債権をあぶり出し、立ち行かない銀行は大手でも破綻させ、公的資金を投入しつつ銀行自身に100兆円の不良債権を処理させたことで、金融行政の方向性が大きく変わってきたのである。

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