11月15日の早朝、ドイツの警察当局は、イスラーム教団体「真の宗教(Die wahre Religion)」のモスク・拠点の一斉捜索を行った。捜索の対象は10州の200カ所に及ぶという。当局は「真の宗教」からシリアやイラクにジハード戦士として渡る者が多く出ていることを理由としている。この団体の活動を通じて、140名の若者がシリアやイラクに渡ったという。

  併せてドイツ連邦内務省は「真の宗教」を非合法化した。ドイツで非合法化されたイスラーム教団体としては6つ目だという。

 「真の宗教」はコーランのドイツ語訳を繁華街で配る活動で知られている。メンバーが配布活動の際に着ている服や横断幕に大書されている文言から、「誦(よ)め!(Lies !)」とも呼ばれている。「誦め!」とは神が預言者ムハンマドに下した啓示の最初の文言である。

 イスラーム教が「真の宗教」だという主張も、圧倒的多数のイスラーム教徒が普遍的真理として、論理的に考えれば揺るぎようのない自然法則のように受け入れているものであり、「真理を主張するカルト集団」というような受け止め方がもし日本にあれば、それは誤りである。むしろ、「イスラーム教こそが真の宗教である」という主張に少しでも疑いを差し挟む発言は、「宗教への侮辱」と広範に受け止められて、非難の対象になるのが通常である。

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