シリア北部、アレッポ北方のマンビジュを制圧していたクルド人部隊YPG(人民防衛隊)が、マンビジュでの現地部隊の訓練を終えたとして撤退し、ユーフラテス河以東に移動し、クルド人勢力が主導して開始されている、「イスラーム国」のラッカの拠点の制圧作戦に加わる模様だ。11月16日に発表された。

"Syria conflict: Kurdish YPG militia to leave Manbij," BBC, 16 November 2016.

 アレッポ北方のユーフラテス河以西の地域にシリアのクルド人勢力が支配を及ぼし、西方のアフリーンのクルド人勢力の支配領域と一体化することを、トルコは「踏み越えてはならない一線」と認識しており、今年6月から8月にかけてのYPGのユーフラテス河以西への進出とマンビジュ制圧は、トルコによる「ユーフラテスの盾」作戦の発動を惹起し、8月24日のトルコ地上部隊のシリアへの侵攻・ジャラーブルスの制圧を招いた。トルコは「ユーフラテスの盾」作戦を拡大・続行し、影響下にあるシリアの反体制勢力を支援して一帯の制圧を進めさせ、10月16日には「イスラーム国」がシンボルとしても重視していたダービクを掌握、さらにアル・バーブの制圧も近いとされる。

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