世界の「壁」を中東から考える(5)チュニジアの壁を米国の監視技術とドローンが見張る
2016年11月26日
中東の「壁」をめぐる本シリーズだが、今回はチュニジアである。
チュニジアのバージー・カーイド・アッ=セブシー大統領は11月22日、チュニジアのリビアとの国境地帯を米国のドローン(無人機)が監視し、「イスラーム国」の浸透に対処していると認めた。
ドローンの導入は、既に建設されているチュニジア・リビア国境の「壁」と、そこに設置が進む監視装置を、補う措置である。
チュニジアで2015年に生じた大規模なテロ、すなわち3月18日のチュニス・バルドー博物館での銃乱射、同年6月26日の地中海岸スース郊外のポルト・エル・カンターウィーのビーチ・リゾートホテルでの銃乱射は、いずれもリビアで訓練された戦闘員が越境してきて起こした事件と見られている。
スース近郊での事件から間をおかず、昨年7月8日には、リビアとの国境地帯に壁を建設する計画が発表され、今年2月6日には、200kmに及ぶ国境線の主要部分での壁(フェンスや土塁と堀を含む)建設が行われたと発表されていた。
しかしチュニジア・リビア国境では壁を作っただけではテロリストや武器の流入は防げない。国境地帯は多くが無人地帯であり、そこに人員を配置して24時間見張ることは困難である。そこで電子的なものを含む監視技術を導入することが壁と不可欠の措置として当初から示されていた。今年3月25日の在チュニス米大使館の発表によれば、米国防総省の資金提供と米企業の受注により、監視装置が導入されると発表された。発表によると米国政府はこのプロジェクトに合計2490万ドルを支出する。国防総省の脅威低減局(DTRA)の発注を米国のBTP社とAECOM社が受注したという。
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