世界の「壁」を中東から考える(6)エジプトのガザの壁は地下深く伸びる
2016年12月3日
今回はエジプトを見てみよう。
エジプトの「壁」は、パレスチナ自治区ガザとの国境線付近に築かれている。
特徴的なのはエジプト政府は、地上に高くそびえる壁を整備するより前にまず、地下に深く掘って壁を作ったことだ。
地下に掘ると言っても堀ではなく、れっきとした壁である。地下に18mの深さまで鉄の壁を埋め込んでいる。
この背景にあるのは、ハマース、あるいはアル=カーイダ、後には「イスラーム国」に共鳴したイスラーム主義諸組織によるトンネル建設とそれを用いた攻撃や密輸である。
2005年8月から9月に、当時シャロン政権下だったイスラエルがユダヤ入植地を放棄し、占領部隊を撤退させた。それ以来、イスラエルはガザ地区を外から包囲している。エジプトもムバーラク政権時代以来、ガザ地区の封鎖に協力してきた。
イスラエル軍撤退直後の2006年1月の選挙で勝利したハマースは、2007年6月にはファタハの勢力を放逐してガザの支配を強めると共に、イスラエルやエジプトによる包囲を強められた。ハマースや、その他のイスラーム主義組織は、地下トンネルを作ってエジプトやイスラエルに渡り、密輸や攻撃を行ってきた。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。