突然浮上「フランス大統領に一番近い男」フィヨンの危うさ
2016年11月29日
フランス大統領選にはハプニングがつきものだ。1995年には、最有力の首相バラデュールが失速して決選に残れなかった。2002年には、右翼ジャン=マリー・ルペンが決選に進出した。2012年には、一時隠居状態にあったオランドが復活して当選した……。
2017年の大統領選も、その年をまだ迎える前から波乱ぶくみの展開となりつつある。11月20日と27日に実施された右派政党「共和主義者」(旧「大衆運動連合」)の予備選で、ほとんど誰も予想しなかった元首相フランソワ・フィヨンが勝ち抜き、党公認の大統領候補に決定した。現状では、大統領に最も近い男である。
地味だがまじめで政策通
「共和主義者」の公認争いは、長らく前大統領のニコラ・サルコジと元首相アラン・ジュペの間で繰り広げられていた。フィヨンは、その他大勢の1人としか見られていなかった。
フィヨンに対する世論の評判は、決して悪くない。フランスの政治家には珍しく普通の大学出で、エリート養成校のグラン・ゼコールを出ておらず、エスタブリッシュメントとは見なされていない。まじめで政策通。サルコジ政権の5年間一貫して首相を務め、堅実で安定した仕事ぶりはそれなりに信頼された。
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