トルコとEUの泥仕合いが続く。

11月24日に欧州議会はトルコとの加盟交渉を凍結するよう呼びかける決議を採択した。決議に拘束力はないが、EU各国の世論の表出であり、EUと各加盟国の行動を道義的に制約しかねない。そして何よりも、トルコの政権や世論に与える影響は大きい。

これに対して翌25日に、エルドアン大統領は演説の中で、「国境の門を開放」して難民をEUに渡らせる、と脅した。こちらも難民問題での圧倒的に強い立場を誇示して、EU加盟交渉そのものよりも、トルコ人のEU圏ビザなし渡航の実現などを得ようとする駆け引きの一環とみられ、即座に国境を開放するとは考え難い、というのが一般的な見方だ。

しかしギリシアの情報機関筋と称する情報源に基づく報道では、トルコが無数の小舟やモーターボートを用意し、1日3000人の難民をギリシア領に送りつける準備を進めているという。真偽は定かではないが、一部報道では「戦争」などという言葉まで飛び交っている。難民問題をめぐって誰が誰と戦争をしうるのか定かではないが、トルコとギリシアの関係が緊張することは確かである。

"Turkey poised to send 3,000 refugees to Greece every day, intelligence officials warn," Independent, 29 November 2016.

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