OPEC総会の「減産」合意に実効性はあるか

執筆者:池内恵2016年12月1日

11月30日にウィーンで開かれているOPECの年次総会で石油減産(増産凍結というべきかもしれないが)が合意された(あるいは合意されつつある)との報道がある。ただし会議はまだ続いているようだ。

前日には合意の不調の見通しで先物市場が4%の急落、逆に30日には合意の報道で8%急騰するなど、短期的には市場に影響を与えているが、これが長期的な価格上昇につながるかは不透明である。

9月28日にアルジェで開かれたOPEC臨時閣僚級会合で、一定の「減産」に関する合意が結ばれていたが、具体策を詰め、より実効性のあるものにするための交渉が進められ、この総会で結論が出て合意されるか否かが注目されてきた。9月の合意にはロシアも一定の同調姿勢を示すなど、原油安時代からの転換のきっかけとなるかが注目されてきた。

9月28日の合意はよく読んでみると季節変動によって当然減ることが予想される総産出量を示して「減産」であるかのように銘打っているなど、効果には疑問があるものだった。今回の合意(もし本当になされたのであれば)について、各国への割り当ての強制力・実施メカニズムや、市場への影響が実際にどの程度あるかなど、専門家の検討を待ちたい。

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